人は高度で高付加価値な判断に集中。それを支援するDX
関電グループ内の各事業部門とK4 Digitalとで進められているプロジェクトの中でも実装段階に入っているのが、火力発電所における発電設備の運用管理・保守点検業務の効率化と高度化を図るデジタル化の取り組みです。
「デジタルが得意とする分野はデジタルに任せていこうと。そういうポリシーで進めています」(浅野氏)。遡れば19世紀終わりからある”伝統的な”事業でもある火力発電所のDXは、どのように進められているのでしょうか。
課題-求める変化
電力の需給調整の主軸であり続けることとは
「我々のミッションは、安全かつ安定的に発電して、電力をお届けすること、これに尽きる」(浅野氏)。この不変の使命を完遂するにあたり、火力発電には、昨今の再生可能エネルギーの拡大により以前に増して電力の需給を調整する役割が求められています。簡単に言えば、電力が足りない際は稼働し、足りていれば停止する。とはいえ発電所は、大規模な機械を起動させ運転する工場であり、需給調整のため「起動・停止」の回数が多くなれば、機械にストレスがかかります。そんな負荷の高い状況下で、指令通りの稼働を継続させるには、機械の状況を正確に把握し、どのような状況にも最適なタイミングで対処できる専門的な知見が、常に求められます。
また、火力発電所のコア業務であるO&M(オペレーション&メンテナンス)では、定期的な設備の巡視点検はもちろんのこと、発電設備の運転中に何らかの異常が発生した場合、運転継続か、応急的な復旧が必要か等、瞬時に判断する必要があります。それは知識や経験に基づく高度な判断であり、「起動・停止」の回数が増えれば、その判断が求められる機会もおのずと増えてきます。
一方で、労働人口の減少による将来の働き手不足に加え、ベテラン技術者の退職、それに伴う技術の伝承の難しさもあり、今まで以上に「少人数で効率的かつ高精度な業務の遂行」への対応が急務となっていました。
取り組み-技術と人間の創意工夫
事業のプロと最新テクノロジーのプロ。相互理解と知見を重ね、初の実装化を可能に
もともと人~発電所所員が、発電設備を巡回し目視などで確認していた巡視点検業務。一連の業務における省力化・高度化による生産性向上に向け、その第一歩として取り上げられたのが、巡視点検業務の自動化でした。
まず、その設備情報の収集について、固定センサーやカメラを搭載した自動走行型ロボットが担える仕組みを構築しました。その中で、これまで蓄積されてきた点検データやノウハウを画像解析AIに学習させ、それを土台に、各設備の運転状況が正常であるか診断を行うAIを活用した巡視点検自動化システムを開発しました。
このプロジェクトで、特に大きな課題となったのが、誤検知の問題です。実証実験を重ねる中で、異常な状態ではないのに、自動解析の結果として「異常」と判断されてしまう。この頻度を極力減らすため、様々な改良が重ねられました。
これまでにも業界内で自動走行型ロボットの利用事例はあったものの、実用に耐える先例がない中、2025年度の実装化が実現されたのは、K4 Digitalの人財の力を活用できたからとのこと。
「私たちは、自分たちの事業のプロではありますが、最先端テクノロジーを常にキャッチアップして活用できる形にしていくところは、やはりそのスペシャリストには敵わない。私たちの事業も理解してもらった上で、グループ会社であるからこそいつも伴走してくれて、アジャイルに対応してもらえるのは、ありがたいですね。」(浅野氏)
「誤検知の問題は、各事象としては小さなことでも、現場の方にとってみれば単なる数字上の問題ではなく、実際に一つ一つ解決していかなければいけないものです。そういう作業に伴走させていただいて粘り強く解決していく。それを積み重ねることで実装まで進めることができたと思います。」(梅本氏)